ずっとずっと前、ある哲学者が「ソフィーの世界」という物語風の哲学入門書を出した。
それは世界でベストセラーになったようで、日本にも翻訳版で書店に並んだ。
当時私はまだ子供で、哲学なんて分からなかったのだけれども、なぜか主人公がまるで不思議の国のアリスのように哲学の不思議な世界に入り込んでいくという導入部分に惹かれ、この本を買ってしまった。値段が高くて躊躇したのも覚えている。
ただやはり哲学が難しくて、最後まで読み切れなかった。
ではなぜ読んでみようと思ったのだろう?不思議の国に入り込むような文学でも良かったのではないか?
多分、子供の頃から私は、生きていることに、自分という存在の不思議さを感じ、それが何かを知りたかったのだろう。哲学の本にはその答えが書いてあるのではないかと思ったからに違いない。
結局たどり着けていないけれども。
学生になって、心理学の本にのめり込み、答えを探そうとした。でも疑問が深くなるばかりで思うように知りたいことが見つからなかった。
そして東洋哲学に方向が向いた。日本に住んでいるので、東洋哲学の方が感覚的に入りやすくも思った。しかし内容が深くて難易度が高い。
難儀しているこの頃、なぜか昔読んだ「ソフィーの世界」が頭に浮かんだ。宇宙物理学の本を読もうとして東洋哲学が必要だと思ったが、西洋哲学も欠かせないと思ったせいだろうか?
ソフィーは最後に何を見いだしたのだろうか。